ふとしたきっかけで、昔よく通った店のことを思い出すことがあります。街の風景が変わり、当時の面影が少しずつ薄れていく中で、記憶の中にだけ残っている店や味は、不思議と鮮明によみがえってくるものです。
下館の稲荷町にも、そんな存在だったラーメン屋がありました。
今回は、高校生の頃に通った「どさんこ」という一軒のラーメン店について、はっきりしない部分も含めて、記憶のままに振り返ってみたいと思います。
この記事では、かつて下館の稲荷町にあった「どさんこ」というラーメン店について、当時の街の雰囲気や個人的な記憶を交えながら、その存在や印象に残っている出来事を振り返り、今では失われてしまった一軒のラーメン屋の思い出を紹介しています。
店があった場所の記憶
正確な場所までははっきりと思い出せないのですが、下館駅北口から稲荷町通りを少し西に入った、細い路地のあたりにその店はありました。人通りの多い通りから一本外れた場所で、少し薄暗く、初めてだと見逃してしまいそうな立地だったように記憶しています。当時は特に目立つ看板があったわけでもなく、知っている人だけがふらりと立ち寄る、そんな佇まいの店でした。
「どさんこ」チェーンについて
どさんこラーメンには「どさん子」と「どさん娘」という二つの系統のチェーン店があり、当時はその違いを意識することもなく、単に「どさんこ」と呼んでいました。
稲荷町の店がどちらの系統だったのかまでは覚えていませんが、味や雰囲気を含めて、いかにも昔ながらのどさんこといった印象だったことだけは、今でもはっきりと記憶に残っています。
店内の雰囲気とおばちゃん
店内は確かカウンター席のみで、奥に小さな厨房があり、そこでおばちゃんが一人でラーメンを作っていました。
注文を受けてから黙々と調理を進める姿が印象的で、店内にはテレビの音や湯気の立つ音が静かに流れていたように思います。
決して愛想が良いというタイプではなく、必要以上の会話もありませんでしたが、その無愛想さが逆にこの店らしさでもあり、今振り返ると不思議と記憶に残る存在でした。
高校生の頃とカレーラーメン

高校生の頃、稲荷町に遊びに行った帰りに、そこでカレーラーメンを何度か食べた記憶があります。
部活帰りや友人と街をぶらぶらしたあと、小腹が空いたタイミングで立ち寄るにはちょうどよい店でした。
当時は今ほど選択肢も多くなく、気軽に入れるラーメン屋は貴重な存在だったように思います。
当時、ラーメンのチェーン店といえば「どさんこ」というイメージがとても強く、味噌ラーメンやカレーラーメンといった北海道風のメニューが身近な存在でした。
稲荷町の店だけでなく、玉戸の国道50号線沿いにあったどさんこでも、自然と同じようにカレーラーメンを選んでおり、いつの間にか自分の中では「どさんこ=カレーラーメン」という印象が定着していきました。
どさんこのカレーラーメンにハマっていた頃
その頃は、すっかりどさんこのカレーラーメンにハマっていて、しばらくの間はかなりの頻度で通っていたように思います。
特別な理由があったわけではありませんが、気が付くと自然と足が向いていて、他のメニューを選ぶこともほとんどありませんでした。
辛さや味の細かな違いを語れるほど覚えているわけではないものの、「今日はあれを食べたい」と思わせる安心感があり、日常の延長線上に溶け込んだ一杯だったように感じます。
今のどさんこと変わったメニュー
しかし現在では、かつて近隣にいくつもあったどさんこも、結城店くらいしか残っておらず、街の変化とともにその存在感はずいぶんと小さくなってしまいました。
以前は当たり前のように見かけていた店名が、気付けばほとんど目に入らなくなり、時代の流れを実感させられます。
メニュー構成も当時とは大きく変わり、かつて親しんだカレーラーメンは姿を消してしまいました。
味だけでなく、気軽さや雰囲気も含めて「昔のどさんこ」とは別の店になったように感じられ、その変化に少し戸惑いと寂しさを覚えたのを、今でもよく覚えています。
もう一度食べたい、あの一杯
稲荷町にあったどさんこのおばちゃんのことを思い出すと、ぶっきらぼうな接客や多くを語らない雰囲気とともに、あの一杯のカレーラーメンの味が今でも自然とよみがえってきます。
特別に凝った味だったわけではないはずなのに、当時の空気や自分の立場、店の佇まいと一緒に記憶されているからこそ、今でもはっきりと印象に残っているのかもしれません。
もう一度、あの頃のどさんこのカレーラーメンを味わってみたいと思うのは、単に料理そのものを求めているというよりも、あの時間や場所、そして何気ない日常の一場面をもう一度確かめたいという気持ちに近いように感じます。
そんなことを時折思い出しては、少し懐かしい気持ちになる――今日この頃です。
まとめ
下館・稲荷町にあった「どさんこ」は、派手さや特別感があった店ではありませんが、当時の日常の中に自然と溶け込み、気付かないうちに記憶に刻まれていた存在でした。
場所や細かな出来事は少しずつ曖昧になっていても、カレーラーメンの味や店の空気、おばちゃんの佇まいといった断片は、今でもはっきりと思い出すことができます。
街の変化とともに失われていく店は少なくありませんが、こうした何気ない一軒の記憶こそが、その時代の下館を静かに物語っているのかもしれません。


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